中央教育審議会で、昨日から大学入試改革の議論が始まりました。
先日、大学入試改革に関する政府の教育再生実行会議が提言した、「人物本位の選抜」の議論が開始されたことになります。
私は、この入試改革がそのまま提言どおりになれば、大学入試が就職試験と同じような対策を求められると考えます。
これを、私は「大学入試の就職試験化」と名付けたいと思います。
当ブログでも、以前「(感想)中外時評--日経新聞--(2012年9月16日日曜日)」という記事で、上位大学は、面接などを取り入れるべきだが、その他の一般大学はこれまでの入試制度プラス簡単な人物試験程度でよいという主張をしました。
現在の案では、大学は、高校時代の活動(ボランティア・部活動等)や面接などで学力試験の結果とあわせて入学者を選抜するということになっています。
つまり、高校時代が常に入試ということです。学力試験の「達成度テスト」もあるため、勉強もしなくてはなりません。
まるで、就職活動のように、高校で勉強だけでなくいろいろな「ネタ」を作っておくことが、入試対策となるのです。
面接試験も、就職活動のように「面接対策本」を読み、大学側の求める答えを暗記することになりかねません。人物重視の試験はかなり難しいでしょう。
そもそも現在の大学には、面接などの人物試験で優秀な学生を選抜する能力はないと思います。
推薦入試などを実施しているとはいえ、それとは比べ物にならない人数を選抜しなければなりません。
また、「コネ入学」が発生する可能性もあります。
就職活動において企業は、専門のコンサルタントを高額の謝礼を支払うなどして雇う例もあります。
大学によっては、結局外部委託で、怪しげなコンサルタントに丸投げしてしまうだけになりかねません。
先生方も、人物試験の専門性は全くない方がほとんどでしょう。
この改革も、東大の秋入学制度などのように、当初案から後退する可能性が高いと思います。米国の大学入試のようにするには無理があるように思われます。
現在の大学入試制度は、勉強内容だけを反映させ、人間の主観をできるだけ排する仕組みです。もちろん問題点はありますが、現時点では最善の方法だと考えます。
旧帝大など、学力は最高レベルで当たり前の大学は、今回の入試改革を検討する余地があるでしょう。
しかし、それ以外の一般大学では、現在の制度をベースとして、そこに若干の人物評価を加える程度にするべきだと考えます。
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