先日、初めて新型の特急南紀(HC85系)に乗車しましたので、乗り心地などを紹介します。
乗車前から非常に期待が高かったです。
何といっても「日本鉄道大賞」や「ブルーリボン賞」を受賞している素晴らしい車両です。
技術的にも世界最先端で、関係者の皆様のご苦労は計り知れません。
今回は、評価する意見が多いなか、批判が非常に少ないので敢えて否定的な部分も書いていきます。
【結論】
総合的に旧型車キハ85より若干悪化した気がする。
まだまだ発展途上のハイブリッド。課題・改良点は多そう。
とはいえ慣れや体調もあるので、次回の乗車も楽しみ。
【乗車】
・自由席
・車両前方付近
・夕方~夜間
【良くなった点】
・エンジンの振動・騒音が小さくなった
エンジンを支える構造を改良したことで、旧型車キハ85に比べて、ややエンジンからの騒音などが小さくなりました。
・デッキがきれい
新車ですので当然ですが、デッキ含めてきれいですね。
【悪くなった点】
・駅停車時に振動が
JR東海公式サイトでも言われるように、駅に停まるときにエンジンストップで排気ガスを低減し、駅ホームでの不快感を低減するというもの。
ハイブリッドならではですね。
しかし、意外にも乗車するとエンジン停止時の振動があります。
1秒弱でしょうか。ブルッという振動のあとシーンという感じです。
長時間停車駅ならば良いのですが、三瀬谷などすぐに発車する駅ではエンジンはそのままの方が違和感がありません。
私は、このエンジンストップ機能は近いうちに特定の駅(名古屋、津、乗務員交代のある多気、同じく新宮、紀伊勝浦あたりか)だけになると予想します。
なんとういうか、駅に着くとブルッが来るぞと無意識に身構えてしまいます。
そこまで不快ではなく一瞬なのですが、初乗車中は慣れませんでしたね。
・エンジン音は走行中は消えない。音・振動が感覚と一致しない。
これも慣れかもしれませんが、駆動はモーターでエンジンは発電のために利用するだけです。
エンジンで動いているわけではありません。
そのため、加速中でもないのにエンジン回転が上がり音が大きくなったりして、感覚と一致しません。
・回生ブレーキでちょっとだけ酔う
また、回生ブレーキでバッテリーに充電する機能があるのですが、これもふわふわした感じで若干酔いました。
例えるなら、車体傾斜制御方式(振り子式)の左右ではなく前後版。それの弱い版。
回生ブレーキは珍しいものではなく電車でも採用されていると思うのですが、この南紀では違和感が大きかったです。
・サスペンションは変わらないかやや悪化?
走行中の線路からの騒音・振動は旧型南紀と比べて変わらないか、やや悪化した気がします。
線路状況もあるのでしょうが、左右にグラグラ感が思ったよりありました。
もちろん普通列車よりは快適です。
試験走行時の映像で、出入口付近に水入りペットボトルが大量に置かれていましたが、サスペンションの関係かもしれません。
ハイブリッド化でエンジン・モーター・バッテリーを搭載し、重量が増えているのでしょう。サスペンションにも限界があるのでしょうね。
・耐久性は大丈夫か
車両前方のデジタル表示には、走行中の動力源が表示されます。エンジンの発電なのかバッテリーの電力なのか、あるいは回生ブレーキで充電中なのかが分かります。
しかし、想像以上に頻繁にこれらが入れ替わります。相当な技術ですね。
とはいえ、ここまで頻繁だと耐久性が心配になります。バッテリー交換は高頻度かもしれません。
さらに、これらの間を制御する動力系統にも負荷が大きそうです。エンジンも駅停車でストップしたと思ったら、また始動の繰り返し。
自動車のエンジンとは訳が違うので、桁違いのエンジン負荷と推測します。
相当な負荷が機器類にかかりそうです。
・試験走行がやたら長かった
確かに、新型南紀は試験期間が長期間でした。
当初、試験走行を始めたときには間近かと思われましたが、その後数年間はひたすら走行試験でしたね。
難所の荷坂峠(紀伊長島駅)を行ったり来たりの試験もあったようです。
もちろん特急ひだで同型車が、南紀の1年以上前にデビューはしていますが。
やはり課題が当初から多かったと想定されます。
【予想】
・意外に短期間で車両の動きがあるかも(私見)
今回、これらの悪かった点から、旧型のキハ85の約30年と比べて短期で車両の動きがあるのではと私は予想します。
先述の「エンジンストップを一部の駅のみに変更」は数年以内にもあり得るでしょう。
また、駆動系の交換も10年以内にはあるのではないでしょうか。
新型のHC85系は、特急南紀だけでなく特急ひだにも導入されており、大量の調達が行われました。
エンジンと比べハイブリッドはまだまだ開発途上の技術。自動車はハイブリッド車が一般化しましたが、鉄道は非常に限られます。
JR東海は、導入を焦りすぎたのではとちょっとこの先が心配です。