ある元三重大学生のブログ: (映画)聲の形 こえのかたち

2021年1月24日日曜日

(映画)聲の形 こえのかたち

映画「聲の形」(こえのかたち)

聲:声の旧字体


この映画は、主に中高生向けなのかなという感じがして、すでに大学を卒業した人間が書くのもちょっと恥ずかしいのですが、なかなか良い映画なので書こうと思います。

私がこの映画を始めて観たのは、数年前にEテレで放送されていた際に偶然途中からチャンネルを合わせて、最後まで見てしまったというものでした。

幸いにもちょうど、小学校時代の回想が終わるところからで違和感なく見始めることができました。

なお、ネットでは学校で観たといった話も散見されますが、生徒に教育として見せる映画ではないのかなという印象です。

すでに3回程度この映画を見ていますが、受ける印象が変わっていきますね。

1回目(途中から):絵と音楽がいいな。なんだか引き付けられるな。めでたしめでたし。

2回目:1回目の感想に加え、ストーリーが強引過ぎないか?非現実的な展開が多いな。

3回目:1,2回目の感想に加え、主人公の男(石田)女(西宮)が最大の悪役なのかもしれない。

彼らには悪意はなく、むしろ善意で行動している。しかし、その結果は悲劇である。「地獄への道は善意で舗装されている」とはこのことかな。


絶賛する感想も多いのですが、私はそこまでは陶酔できません。違和感がどうしてもあります。

・さすがに相当ないじめをしておいて、会いに行くなよ。せめて1回にしとけよ。

会いに来られた方もなぜか告白するほど好きになるなよ。(困惑)

西宮母も簡単に自宅に受け入れすぎだろ。

・遊園地のシーンは高校生とは思えないドロドロ。石田を利用する川井の思惑とか植野の行動とか高校生とは思えない政治的動き。お前ら本当は中年だろ。

・原作をわずか2時間に圧縮する相当な努力とはいえ、次々シーンが変わりストーリー展開が急すぎ。いきなり葬儀シーンは必要なのか。直後に養老天命反転地にデートに行くし…


一方で、何度見ても

・絵がきれい。色合いとかも自然で癒される。

・細かいこだわりがあって飽きない。随所に出てくる花は花言葉が合わせてある。シーンも対称を考えて制作されている。

例:弦に石田が傘を差し出す⇔西宮が植野に傘を差し出す

少年時代の石田が池に飛び込む⇔西宮・石田がノートを取ろうとし池に飛び込む

序盤の石田飛び降りを花火で思いとどまる

⇔花火のなか飛び降り自殺しようとする西宮を助け、石田が代わりに落ちる

・BGMやエンディング音楽がいい。

・登場人物の顔を×印で覆ってしまう演出が斬新。


その他

・石田の母が札束を燃やすと脅すシーン。私は札束に目が行ってしまい(笑)気づきませんでしたが、母親の耳の傷が強調されずに数秒出てくるんですね。だからこの直後にイヤリングを引きちぎられる回想シーンにつながるわけです。


・未だに理解できないのですが、西宮はなぜひどいことが書かれたノートを大事に持っているのでしょうか。池に落ちたとたん迷いなく池に飛び込むほどに。


・西宮はすでに(または当初から)不可逆な心的障害を負っており、周囲を翻弄するようになってしまているのではないか。たとえ彼女は善意でも。


・川井が嫌いという意見が多く理解できるが、西宮を責める意見は少ない。しかし、西宮がもっと一般的外観(美少女キャラではない)場合、反西宮の人々が増えるのではないか。もし、永束が中身は同じで西宮役だったら…西宮の味方は大幅減であろう。

我々の善意や正義感も当てにならないのだ。


・西宮の飛び降りシーンで、一瞬床に誕生日に西宮母が被っていた三角帽子が置かれているが何を意味するのか?

石田は水中に落ちたのになぜ助かったのか。助けが来るのに相当な時間を要するのではないか。


・石田姉は謹慎中の弟を自らの子供の迎えに行かせるが、この姉問題ありだ。


・最初と最後に表現される真っ黒い画面の中の小さな点の意味するものとは?中には二人の人物が映っているようですが、ぼやけていて誰かはわかりません。片方は背が低く石田・西宮ではなさそうです。意図がいまだにわかりません。


原作も読んだこともないのに、いろいろ文句を書きましたが、なぜか引き込まれる映画です。是非一度ご覧ください。

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